夫との出逢いで自分から相手に伝えることの大切さを知りました

辛子高菜
幼い頃から母に対する態度のひどさと転職とずる休みを繰り返す父をみてきた私は人に対する変な偏見を持っていました。しかし夫との出会いで偏見はなくなり、自分から相手に伝えることで環境は変えられるといことを知りました。

はじめまして、高菜です。
私は夫と4歳の娘の3人家族で暮らしている兼業主婦です。
私のこれまでの人生は、とにかく人に恵まれ、助けられたものでした。

そうなれたのはきっと、私を知ってもらえたから。
自分の本心を言葉にして伝えること。それが私が夫から学んだことです。

偏見にまみれ卑屈だった10代

私の両親は私が10歳の時に離婚しています。
直接暴力を振るったりギャンブルによる借金をする、などわかりやすい理由があったわけではありません。
ただ、父が仕事に行った後、母が「いくよ!」と言っただけで当時10歳だった私が、「ああ、お母さんはもう限界なんだ」と感じられるほど父の母への態度はひどく、転職とずる休みを繰り返す父の為に朝も夜も休みなく働く母はボロボロに見えました。

最低限の荷物だけ持ち、母と私、当時6歳と1歳の弟を連れ私たちはしばらく母実家へ身を寄せ、その後アパートへ引っ越しました。
突然父親がいなくなった生活。
大きな変化のはずなのに、いざ始まってみると何も変わらない。
生活は相変わらず貧しかったものの、父がいなくなって不便になったり寂しくなるようなことは何もなく、かといって父から解放された!というような高揚や安心感もなく。
はじめからそんな人はいなかったような、そんな生活。

何事もなく過ごしているように思えていましたが、その頃の私の中には、成長していくうちにある変化が起こっていました。
それは周りの人々に対する偏見です。
どんなに優しくても、真面目そうでも、結局は男性は女性を見下してる。でも世の中にはそんな男性しかいないから仕方ない。
女性は仕事家事育児できて当たり前。できない人はだらしがない人。
台所に男性が入るなんてとんでもない。
転職をする人はおかしい人。

今考えるとバカみたいな偏見ですが、これが、私にとって人間の教科書だった両親から学んだことだったのです。

夫との出会いでくだらない偏見が吹き飛んだ!

夫との出会いは18歳。はじめてちゃんと話をした時の衝撃は今でも忘れられません。
その頃の私は劣等感の塊。女性はみんな清潔で可愛くて料理ができて掃除が好きでアルバイトでバリバリ稼ぎながら勉強も頑張るもの。同級生はみんなそうか、アルバイトしていない子たちは実家がお金持ちのお嬢様。

そう本気で思っていたので、家事が苦手でアルバイト先でも一番仕事ができるわけでもない、洋服だっていまだに親戚からもらっているような私は毎日本当に気を張って過ごしていました。

そんな中、夫とだけはなぜか普通に話せたのです。
当時は何でこんなに夫と話しやすいのか、何で涙が出るほど嬉しいのか変わりませんでしたが、今思うと
「自分はこう思っているよ」と伝えてくれるから、おかしな偏見にとらわれずに話すことができる。
「どう思ってる?どうしてる?」と聞いてくれて、それを肯定してくれるから無理しなくていい。
そんな会話が嬉しかったのかもしれません。

当たり前のことですが、決めつけず、決めつけられずに誰かと会話するのは本当に楽しくて、付き合いだしてからもただひたすら散歩をしながらおしゃべりをしていたように思います。
誰かと等身大で話すことは楽しい。
そう気づいてから少しずつ、他の人との会話でも自分の気持ちを伝えるように意識するようにしています。

はじめはやりすぎて自分の話ばかりになったり、肝心な気持ちが言葉にできなかったりと失敗もありましたが、疎遠になっていた友人とも趣味のことで盛り上がったり、度々遊びに行く計画を立てるほどになりました。
壁を作っていたのは私の方だったんです。

伝えることで環境はどんどん変わっていく

自分の気持ちを話すこと、相手の言葉を聞くことを意識するようになってからは環境がどんどん変わっていきました。
言葉にすることで自分の本心に気づくことができ、相手の気持ちも考えられるようになっていったんです。

まず転職をしました。モラハラパワハラだらけの会社、そうわかっていたのにどうしても転職に踏み切れなかったのは、私のくだらない偏見のせい。でも、本当は辞めたかった。
転職したいとこぼした私を夫も母もあっさりと受け入れてくれ、勢いで退職してからたった二週間で次の会社にあっさり内定。
こんなことならもっと早く転職に踏み切ればよかったな、と思ってしまいました。

職場では大変そうだな、困ってそうだなと思う人に積極的に話しかけてみたり、とにかく色々な人とコミュニケーションをとるようにしました。
すると、あちらからも話しかけてもらえるようになり、苦手だった他チームと連携が必要なお仕事もスムーズにこなせるようになっていきました。

友人の計画でどこかに行くときも、自分はここに行きたいな、と自分の気持ちを話せるようになりました。
こうしようああしようと誰かと一緒に計画を立てるのも楽しく、色々なことにチャレンジしています。

そして、父との関係も少し変化が。
今までは数年おきに気まぐれに連絡してきては、こちらの都合もお構いなしに好き勝手する父の言いなり状態でしたが、ちゃんと自分の意見を言うことができるようになったんです。

私からの反撃にびっくりした父は最初ポカンとしたあと「そうか」とだけ答えましたが、私は内心バクバクです。
それでも、今の生活、今支えてくれる家族、友人。
その何気ない毎日を守るために、はじめて父に意見できたことは、過去の卑屈な自分への決別でもありました。
今は父に会っても、怖いわけではないのに頭が真っ白になって言うことを聞いてしまうような、あの感覚になることはありません。
自分に自信がなかったから、きっと何となく流されていただけだったのでしょう。
人間の教科書としてではなく人として見たときの父は、虚勢だらけの普通のおじさんでした。

出会いはきっと、くだらない枠を壊してくれる

あなたの周りには、きっとたくさんの人がいます。
当たり前にひとりひとり違う価値観を持っていて、そこにきっと間違っているものもないんです。
そのままのあなたを受け入れてくれる人、
あなたの心からの気持ちを伝えることができる人に出会ったら、是非大切にしてください。

その人とたくさん話をして、しっかりと自分の気持ち、本心に向き合ってあげてください。
そして、自分を好きになってください。

そうすればきっと、周りの人の気持ちに気づいてあげられる、相手と心から会話を楽しめるようになるはずです。

私の娘は今4歳。
これからきっと、私と夫を人間の教科書にして、少しずつ成長していくのでしょう。
娘が大きくなった時に、世の中にはいろいろな形の常識が、価値観が溢れていることに気づいてもらえるよう、自分自身を好きになってもらえるよう、そしてなにより、たくさんの人との出会いを大切にできるよう、日々の会話を大切にしていきたいと思います。